苔むす庭園/4月読書/ボクシング

amigo_kimura2007-05-03

昨日の続き。箱根美術館は熱海のMOAと同じリリジャスなグループが母体となっている美術館。だから何だということもないが。
なんとなくマイナーな感じがするだけに、良いほうに期待が裏切られるかと思って行ってみた。その日は、その団体の催しがあったらしく、最初はごった返していたが、人がすーっと引いたのでそのあとでゆっくり観た。
何しろ土器が充実している。縄文土器も4点ぐらいあり、弥生、奈良、平安、鎌倉、室町あたりがバランスよくそろっている。あとは、巨大な甕(かめ)が圧巻。触りたくてたまらなかったのだが、さすがに遠慮した。

そして、裏のほうに回ると、かなり趣味の良い庭園が広がる。写真は苔をモチーフにしたエリア。奥の方には、今回は入らなかったが茶室もある。今度また寄ってみよう。

そのあとで15年ぶりぐらいに、箱根湯本の蕎麦屋「はつ花」に寄った。橋のたもとの本店が休みで新館に行った。
相変わらず混んでいて落ち着かなかったが、味は相変わらずまあまあ。ちょっと売り手市場なのか、若い女性4人グループを強制的に排除して、次の客を入れていたのはどうかなあ。

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さて、4月の読書を簡単に。

1.「ハゲタカ」(上)
2.「ハゲタカ」(下)真下仁
  NHKのドラマは見なかったのだが、本はなかなか面白かった。
  バブル崩壊の後、アメリカのハゲタカ集団は、元CIAエージェント等を動員して、ものすごい情報戦を繰り広げていた。(もしこの本の通りなら)
また、日本の銀行は本当に万死に値することをやっていたのだなあと、やはり本の内容を真に受けると実感できる本。

3.「表現の情報学」野村雅昭
  PCが世の中に普及する前の、情報収集、整理、取材等のノウハウ本。当時の第一線の人々の寄稿で、田原総一郎も含まれていた。しかし、特に目からウロコのようなものはなかった。

4.「初源への言葉」吉本隆明
  なかなか難しい本。日本書記、古事記の世界、埴谷雄高論、金子光晴、その他いろいろな人やテーマから、初源を探る。といっても初源というのがよくわからない。はじめになにがあるのか?言葉か、思想か、神か・・・。
ばななのお父さんはおびただしい数の本を出しているが、皆このように難解なのだろうか。

5.「愛と幻想のファシズム」(上)
6.「愛と幻想のファシズム」(下)村上龍
 なかなか読み応えのある、世紀末的アナーキズムヒーローもの。よく取材も出来ている。
しかし、惜しい。ラストがちょっと上手く締まっていない。
先月のブログでも書いたが、2010年代、世の中がもっと乱れれば、トウジ、狩猟社、クロマニヨンなどが本当に出て競うな気がする。
また、この本の出版が1987年。オウムのサリンが1994年。オウムのエリートたちの中には、この本に影響を受けた人が少なからずいたのでは?と思ってしまった。

7.「リクルートのDNA」江副浩正
 取引先の若社長が来社したときに紹介してくれて、「これはすごい!ビンビン来ますよ」というから、その日の昼休みに早速かったのだが・・・・。
うーむ、かなり中身が薄っぺらくて、なんつーか、あれだけのことを成し遂げた人が、これしか表現できないとは、という印象。勢いだけだったのかもね。今のネット系会社の社長のように。

8.「官僚とメディア」魚住昭
 なかなか気合の入ったノンフィクション。体制派からは常に目をつけられて弾圧も加えられるだろうが、頑張ってかき続けて欲しい。
例の耐震偽装問題で、実はヒューザーだの木村建設に落ち度はなく、国土交通省が振り上げた刀のおろしどころがなくなったが故に、無理やり別件で逮捕した、というのが真相らしい。この本によると。
役人が保身のために無実の人を陥れるのは、さもありなんという気がする。こういうことは、まだまだ続く。
報道されていることの裏側を常に探る、心眼が必要だ。

9.「とはずがたり」松本寧至編
 作者は、鎌倉時代後期の後深草院二条(ごふかくさいんのにじょう)。後深草院というのは時の天皇
 その寵愛を受けながらも、数々の恋をし、それを書き綴ったもの。
 「問わず語り」は独り言ではなく、どうしても人に話したくて仕方がない、「ねえ、聞いて聞いて」と聞かれもしないのに語る、というニュアンスらしい。
 古典だけに、理解度は50%。でも和歌がたくさん出てきて、日本語の美しさに触れられた。これを機に、古典も時々読み、古語辞典にも慣れたいと思う。

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さて、今晩は19時から合気道稽古だったのだが、なんといってもボクシングトリプルタイトルマッチが19時からもろにバッティング。
録画したものは、9割がた見ないというずぼらな人間であるので、稽古は休んでボクシング観戦。

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(終了後)
稽古をサボってまで観た甲斐があったかどうかは微妙だけどまあ良しとしましょう。全敗もありかと思っていたので。

・名城vsムニョス
 まず、名城という人を全然知らなかったが、世界チャンプのレベルではないね。パンチはムニョスよりもあったと思うが、無策すぎる。何で試合を作って行こうとしているのかが、まったく見えず、終始ムニョスにペースを握られた。左ジャブに右クロスをかぶせられるのがイヤなのなら、頭を振って徹底的にボディーを攻めるべきだっただろう。セコンドも責任が重い。何といっても初防衛は出来ていたのだから。

バレロvs本望
 IR、遅くとも3RでKOと思われていただろう本望が健闘。しかし、再三のカット(出血)で7Rか8Rか忘れたがドクターストップTKO。
彼の功績は、バレロが取り立てて大したボクサーではないことを示したこと。
本望はカウンターパンチャーとのことだったが、残念ながらそのカウンターが最短距離のストレートではなく、フック系だった。インサイドからのショートストレートがあれば、割と簡単に勝てた可能性はある。

長谷川穂積vsベチェカ(南ア)
 スロースターターの挑戦者が、6Rぐらいから出てきた時は不気味だったが、長谷川は最終ラウンドで、ベチェカを再三追い込んで、確実にポイントを獲ったのは評価できる。


それにしても、あの滑るリングはいったい何だ!!特に長谷川の試合は、氷の上でやっているみたいな感じで、ほとんどボクシングにならなかった。リング中央の広告が滑っていたらしいが、それは本末転倒で、本当にボクサーが転倒するのを狙ったのか?なんて、コールド・ジョークを言う場合ではなく、選手に失礼だろう。


それはそうと、長谷川の試合のときに、解説者の末席に粟生隆寛が来ていたが、君には少し期待しているよ。


まあ、でもよかったのは、名城vsムニョスの判定がちゃんとムニョスの大差の判定勝ちだったこと。
これがTBSの亀田の試合だったら、2−1で亀田の勝ちとか、ドローになっていたんじゃないのか。

そういった意味では、今日の日テレのボクシングは、まあまともだったよ。滑るリングを除いてはな。