1Q84で村上春樹は終わったと思っていた。
今回の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」。
仕方ない買おうかと思っていたら、娘の友達のお母さんが貸してくれたので早速読んでみた。
今回は本腰を入れてノーベル賞を狙うために1冊にしたという噂もある。
1Q84は、翻訳に時間がかかってしまってタイミングを逸したらしい。
いろんな要素、メッセージが込められていて、一言では言い表せない小説と思う。
あえて一言でいうならば、ネット、携帯、スマホでコミュニケーションが便利すぎる世の中で、帰って人と人とのつながりが希薄になってしまった社会に一石を投じた小説ともいえる。
実際、登場人物同志がメールで連絡を取り合うシーンはなかったのではないか?
なんたってメインのパートでは、アポ無しでフィンランドへ行ってしまうのだから。
ラストの「すべてが時の流れに消えてしまったわけじゃないんだ」というのは共感できる。
自分も、1994年に行きつけの店が突然消えて、いろんなことがガラガラと変わってしまった経験がある。その話は2006年にこのブログを書き始めた時に書いたかな。
「巡礼」というのもキーワードだ。
広辞苑で引くと、「聖地・霊場を参拝してまわること」とある。
絶縁された4人のうち、2人を名古屋の会社に訪ね、そして最後にフィンランドに行ったのが巡礼ということになるか?
新聞の書評でラストというか、結局すっきりしない感がある、と書いた人がいるが、そういうこともないと思う。
一方、佐藤優がいうように1800円なりを払って読んで後悔しない人はいない、ということもないかな。
で、ノーベルはどうかというと、今回もきついんじゃないか???